無情に動き続ける時計

もうどれほど時間が経った?テーブルには冷めたご飯と、晩酌用の酒瓶と無情に動き続ける時計、鳴らない携帯電話。

睨めっこしても始まらんけど、現状を鑑みれば、事故・事件でも?と、胸が痛い。何でこう無神経。

今日こそは、キッパリと絶対言うぞ。潜めたような声で「ただいまー」の声、ぱたんと玄関ドアが開く音。重役出勤様が御戻り。

「あれ、まだ起きてた?」リビングに入りつつ言うが、「何でこれほど遅い!?状況は不安よ」私が厳しく問う。

「いや、今日は残業で遅く、先に寝ろって言ったじゃん」。

それ知らん、聞いた覚えもありませんとぼやくが、ため息を漏らすも軽く笑って、私の肩に手をまわし優しく抱擁、頬へキスを一度。

「大体出張中のご主人に、気遣うもんだろ?で、こう夜に僕が密会を交わす。ねぇ、そんな人目につく時間は無理」。あぁまたそれか。

彼は間男で、私は浮気女。夫はもう居ない、早く彼へそう告げたい。故に彼が今より夫。旦那 家に帰らない理由さ。